宵に桜





 ぶる、と身震いをすると肩を抱き込まれてその広い胸の中にすっぽりと包まれて、かぁ、と頬が熱くなるのを感じる。
「寒ィんじゃねェのか?」
 くつくつと笑う声に赤くなった顔を隠す為に胸元に頬を摺り寄せた。
「少し…」
「まぁ、外だからなァ」
 言われて仰げば、咲き乱れる花の重みに枝がしなってしまう程の見事としか言い様の無い桜の大木。
「見事だろ?」
「誠に…」
「夜桜で花見ってのも乙だと思ってな。お前が好きだって言ってた店から取り寄せたんだ」
 政宗殿はそう言うと、俺の目の前に団子を差し出した。
「有難う御座いまするぅっ!!」
 思ってもいなかった政宗殿の優しさに嬉しくなって思わず頬が緩んだ。ついでに、と酒も手渡され。
「…酒は…」
「ちっと位付き合え」
 そう言われると呑まない訳にもいかず、ちろちろと舐めるように呑んでいるとすぐに躯が熱くなる。
「お前本当に弱いんだな」
 ぼうっとする頭をくいと自分の肩に乗せ、政宗殿が笑う。耳元で囁かれる声に何故か背筋に痺れが走る。
「幸村?」
「は…い?」
 顔を上げると政宗殿が一瞬目を見開き、にやりと口元を歪めたと思うと不意に唇を噛み付く様に塞がれる。
「んぅ…っ?!」
 あまりにも突然の事に目を瞑るのも忘れていると、政宗殿の目が笑い、手で塞がれた。
 ぬるりと侵入してきた舌に己のそれを絡み取られ、吸われ、噛まれ…良い様に蹂躙されて。
 暗闇の中その舌だけにどうしても意識が集中してしまって、呼吸をするのも忘れてしまう位くらくらする。
「ふ…ぅっ」
 やっと解放された時は目から涙が零れて、情けない位息が上がってしまっていた。しかも。
 薄っすらと目を開けるとそこには、自分のそれと繋がる細い糸を見せ付ける様に舌を突き出した政宗殿の姿。
「お前って…慣れてねぇ割にエロい顔するよなァ」
 しっかり両手で頬を固定されて、そのままクイと顔を上に向かせられる。
 酸欠のせいか、酔いのせいか…恐らく両方だろう。躯に全く力が入らない。
「やっ、あぁ…ぅ…」
 喉仏に爪を立て、そのままゆっくりと下へ移動していく指。
 カリ、と耳朶を噛むとちゅくちゅくと耳の中に忍ばせる舌。
 政宗殿は本当に俺の弱い所を熟知している…。抑えようも無くひくひくと震える躯に政宗殿はふっと笑った。
「な、に…?」
「えらく敏感じゃねェか。酒のせいか?それとも外は興奮するか?」
 意地の悪い笑いを含んだ声にかぁっと頬が熱くなる。
 思わず反論しようと思ったが、相手はそうさせてはくれなかった。
 急に胸元を撫でていた指が、胸の突起をクっと摘んだ。
「ひぁ…んっ」
 チリチリと甘い痺れに思わず腰が浮いてしまって。
 いつの間にか肌蹴られた着物の中に、政宗殿の手が侵入していた事にも気付かなかった。
「あッ、やぁっ…!」
 下帯の上からやんわりと自身を触られて、思わず甲高い声を漏らしてしまった。
「Ha!ぐしょぐしょじゃねェか」
 ぐりっと強く胸の突起を潰され、自身を強く擦られ。急に与えられた快感に呆気なく達してしまった。
「は…ぁっ…」
 呼吸を整える間もなく政宗殿の手に下帯を剥ぎ取られ、裸にされたかと思うと四つん這いにされ尻を高々と上げる格好にされてしまう。
「ちょっ…あァっ」
「もうイっちまったのか」
 フンと鼻を鳴らして政宗殿は俺自身に手を伸ばし弄ぶ。にぢゅ、ぬちゅと厭らしい水音に思わず顔を背ける。
 少し、冷静になった頭でここが外だとぼんやりと思い出して。俺は手の甲を噛んで酷く甘ったるい声を殺した。
「…そんな面もソソるけどよ…」
 にゅぷっと後ろの蕾に指を突き立てられて背中が仰け反り、露になった喉仏に歯を立てられる。
 その愛撫一つ一つに躯がびくびくと跳ねるのをもう止められなくって。
「声、聴かせろよ」
 ぐちゅぐちゅと骨ばった指が自分の体内を引っ掻き回し、引き攣った声が喉に張り付く。
 精一杯の抵抗で子供が厭々をする様に頭を振ると、ぱさぱさと髪が力無く音を立てる。
「幸村」
 名前を呼ばれて薄っすらと目を開くと、その瞬間。いきなりぐぐっと指が前立腺を掠める様に奥まで挿れられる。
「きゃぅッ、あっ…」
 あまりの快感に声を殺すのも忘れて、更に甲高い声を上げてしまった。
「良い声だ」
 満足そうに笑うと政宗殿の指は三本に増やされ、胎内を暴れ回った。
「まっ…さむねど…のっ!!もっ…」
 限界だった。快感に羞恥心も影を潜め、自ら腰を揺らして…早く挿れて欲しくて…。
「挿れて欲しいか?」
 意地の悪い問いにコクコクと頷いてもまだ足りないらしく、熱い塊は蕾の入り口に当てられたまま、動く気配もなかい。
「何が欲しいかちゃんと言ってみろよ」
 にちゃにちゃと音をさせながら蕾に先を擦りつける。本当に、とことん意地悪だ。
「政宗…殿の…その、おっきぃ…のを、中に、下さい…っ」
「Good boy、いーい子だ」
 ぐっと肉壁を押し広げて侵入してくる熱い塊に、否応無く背が反り、甘い声が高々と響いた。
「ぁ…ぅん、やぁ…っ」
「は…よく締まりやがる」
 ズっと勢い良く奥に肉棒が叩き付けられ、一瞬息が止まる。
 その間も遠慮無しに胎内を突き上げてくる肉棒に嬌声が止まらない。
 はっはっと短く息をするのが精一杯でだらしなく開いた口元からは涎が流れた。
「エロい顔しやがって…!」
 ぐい、と躯を持ち上げられて桜の樹に押し付けられ、結合部に自分の体重がのしかかる。
 最奥までみっちりと満たされた熱い塊を感じて、無意識にキュゥキュゥと締め付けた。
 背中が樹に擦れて痛いとか、もうどうでも良かった。
「んぁッ、やぁァッ、もっ…だめぇっ…!!」
 ぱんぱんと尻朶に腰が叩きつけられて、襲い来る快感に頭の中が真っ白になっていく。
「いいぜ、イけよっ」
 一層激しく突き上げられ、揺振られて。その上自身を握り込まれ躯がびくびく震える。
「ひッあっあぁぁ――――――…!」
 前立腺を何度も思い切り擦られて、がくがくと痙攣を起こして呆気なく果ててしまった。
 びゅくびゅくと政宗殿の手の中に白濁を放ち、きゅぅと締まった後ろの最奥で政宗殿の熱も爆ぜたのを感じた。
 ふぅと意識が遠のく前に見たのは一面に広がる桜だった。


「ぅ…ん…」
「気付いたか?」
 目を開けると、着物をちゃんと着せられて政宗殿の上に横座りになっていた。
「政宗…殿…」
 優しく向けられる目に、胸がどきどきして何を言ったら良いのか解らない。
「綺麗だったぜ、幸村。桜の花びら躯に張り付かせてよ」
 ふっと笑うと頭上を仰ぎ見る。つられて見ると桜は相変わらず、薄紅の花弁を降らしても尚綺麗に咲き誇っていた。
「…綺麗で御座るな」
「あぁ…」


 そうして、二人抱き合ったまましばし夜桜に見とれていた。





強制終了!(得意だな
も…エロはムズい。でも頑張る。今思えば初エロ?