「で、性を吸い取るってどう言う意味だよ?」
 半眼で睨みつけてやれば、鈴は涼しい顔して(べっ、別にうまい事言おうとしたわけじゃないんだからな!)サラリと視線を受け流す。
「本来ならば"生"か"性"を吸い取るかを選べるのだがな。主は人の命を頂く等と言う真似はしたくないだろうと思ってな」
 鈴はそう言って俺を見る。
 確かに…。人の命ってのはその人の物であって、軽々しく他人が奪い取って良い物じゃない。
「…そうだな」
 頷けば、優しい笑みを返される。…お前、かなりの美人(美猫?)だったんだな。ちょっとキュンキュンしたじゃないか。
「で、だ。性を吸い取ると言うのはだな。性行為をするか雄の子種を飲むかだが…」
「ちょっと待ったぁっ!!!!」
 待て待て待て!性行為はまぁ、置いとくとして。…雄の子種を飲むって…え、マジで?俺の頭の中でとてつもなく嫌な構図が繰り広げられているんですが?!
「子種って…飲むって…」
「解り易く言うと、精子を飲めと言う事だが?」
「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
 思わず頭を抱えたよ。やっぱり!!!!やっぱりそれかぁっ!!…でも生、命はなぁ…あ゙ー…。
「何なんだよ!BLフラグ立ててんじゃねぇー!!!」
「別に私が立てた訳ではない。神の見えざる手が働いているのだ。現にこうして喋っている事だって…」
「す、す、す、ストップ!!!それ以上は何も言うな!!全てが破綻しちまう!!」
 お前サラリと怖い事言うなよ!いや、本気で。
「諦めはついたか?話を進めるぞ」
 正直、諦めるも何も選択肢は一個しかないじゃないかよ。
「その魔力だが、能力を使わずとも定期的に摂取する必要がある」
「え」
「ついでに言うと性行為をした方が魔力は大きく回復する。それから…」
 まだ何かあるのかよ。てか覚える事結構多いな。
「発情期と言うものがあってな。これは猫化していても強制的に人間か獣人化になる。何かあって猫から戻れない時はこれを待つが良い。覚えておけ」
 お前、サラリと爆弾発言する癖止めろって。偉そうなのはもうツッコむ気すら起きないよ。
「まぁ…長々と説明してやった訳だが。最後にこれをやろう」
 鈴がペラリと出したのは…ポケット?
「私の知り合いの猫に便利なポケットを持つ奴が居てな。拝借してきた」
 …え、それってアレですか?2X世紀の文明の賜物ですか?!
 って言うか!それ猫じゃないから!!!あくまでも猫型ですから!!!!!
「言っておくが、皆の憧れピンキードアやら小さい電気やらは出て来ないからな」
 お前、マジで詳しいのな。てか時空移動ってそんな事まで出来…るわな、現に俺はここに居るし。
「じゃぁ何が出て来るんだよ」
「主の元居た世界の物だ。だが全てにおいて出て来る訳じゃない。ついでにそれは主にしか使えぬようにしておいた」
 そう言って鈴は俺のデニムのポケットに、四次元ほにゃららを突っ込んだ。
「…そろそろ私の能力も限界だ。ではな、
「え、ちょっ!!俺、どうやったら元の世界に帰れるんだよ?!」
 その問いには答えず、鈴の姿は掻き消えた。と、同時に時間が回り出す。
「Hey、。お前何か一瞬でやつれてねェか?」
「…色々あったんだよ。―――とりあえず先程の問いには答えるから…」

 鈴の言った事を伝え(MP回復法は流石に伏せたけど)、俺が異次元から来た事も素直に言った。 四次元ほにゃららから俺の携帯を出して見せる(マジで出てきた!)と、宗様は少し考えた後にニヤリと笑った。
「OK、俺はお前の言う事を信じるぜ」
「ですが政宗様っ」
 こじゅ、お前は正しい。まさかこんなに簡単に信じるなんてなー。
 や、まぁ信じて貰えないと困るんだけどさ。
「Shut up!俺が信じるって言ってんだ。例えコイツが嘘吐いてたとしても俺やお前等をどーこー出来ねェよ」
 確かに、その通りです。ってかどーこーする気もないし。
「Welcome to奥州!炬、お前はここで暮らすと良い」

 何だかんだあったけど、とりあえず衣食住は確保出来ました!!!