うん。次々と襲い来る事態に俺は若干パニックになっているようだ。
 とりあえず落ち着いて…られるかっ!!と、とりあえずあれだ。冷静に質問してみよう、うん。

「ば、化け猫、ねぇ?で、お前どうしてここに居るの?俺がここに居るのもお前が関係あるの?」
「それを説明する為にここに居る。正座して心して聞け」
 正座する必要は無い気がするが、まぁ話は聞きたいので素直に従う。
「…まずここに来る事が遅れた事を詫びよう。色々あってな。さて…本題に入るとするか」
 鈴はちらりとこちらを一瞥すると淡々と喋り始めた。
「まず私は化け猫で、その能力は時空移動、そして時間の操作だ。周りを見てみろ」

 言われるまで気付かなかったが、政宗や小十郎が先程のまま…止まってる?

「今、時間を止めている状態だ。そして主をここに連れて来たのも私の能力。空間移動だ」
 化け猫って凄いな。そんな事出来んのかよ!
「それでだな…その時に…非常に言い難いのだが…」
「何だよ?」
「私の力が主に入り込んでしまったらしくてな」
「とどのつまり、この猫耳と尻尾はお前の仕業か」
「うむ。そしてそれだけではなく、どうやらお前は猫又になってしまったらしい」
「…は?猫又?!って言うか化け猫の力が混じって、どこをどーすれば猫又になるんだよ?!」
「細かい事は気にするな」
「気にするだろ!」
 力強くツッコむと、鈴はバツが悪そうに頬を掻く。ちょ、可愛いじゃないか!
「私にもよく解らぬのだ。…まぁ、そう言う事だから主にも何か能力を授けて置く」
「…能力やる代わりに黙っとけって聞こえるけど…まぁ良いや。何くれんの?」
「そうだな…回復の力でも授けよう。この時代では重宝するだろう」
「マジで!!ケ●ルか!!!」
 正直、本気で嬉しいぞ!人外になっちまったけど、それなりの力使えるなら許す!
「言って置くが、ケ●ルラにもケ●ルガにもならんぞ。ついでに言うと全体効果は無しだ」
「お前、妙に詳しいのな…。つまり、一人にしか使えないし回復できるにも限度があるって事か。どうやって使うの?」
「望めば出来る。それでだな、その能力を使うに当たって魔力が必要になってくる」
「魔力?あぁ、MPか」
 まぁ、当然っちゃぁ当然だよなー。何をするにも引き換えに何かを差し出さないとね。
 Give and Take。所謂、等価交換って奴?
「主は今獣人化しておるが、魔力が満タンの時は人間、獣人化、猫又、猫化とまぁ、4つに変化出来る。だが、魔力が減るにつれて、姿も後退していく。猫になった時は完全に魔力が無くなった時だ」
 つまりアレか。墨が無くなったら唯の白い犬っころになるのと同じ理屈か。
「変化って…とりあえず俺的には今すぐ猫耳取りたいんですけど、どーすりゃ良いの?」
「本来ならば生まれつき解っている事だから説明をするのは難しいな…。よし、指を鳴らす事で変化出来るようにしてやろう。猫化の時は鳴けば良い」
 鈴はそう言って俺の額を強く小突いた。
「痛っ!」
「あぁ、そうだ。猫又はまだ言葉を話せるが、猫は無理だからな。注意せよ」
 完全に猫になっちまったら意思疎通も出来なくなるって事か…それは厄介だな。
「それで?そのMPはどうしたら補充出来るんだ?」
「うむ。その魔力を補うには人から性を吸い取るしか道は無い」
 …うん?
「生?」
「…現実逃避したくなるのは解るがな、性欲の性だ」
 やっぱり?じゃなくて!性を吸い取るって何だよ?!凄く嫌な予感がするんだけど!