遂に来ちまったよ、青葉城!伊達軍のアジト…もとい、巣窟…いや、総本山。
 しかし…デカいな。現代じゃ二の丸とか三の丸とか現存してないんだったっけ。
「小十郎!今帰ったぜ!!」
 朗々とした声で政宗が帰りを知らせると、何処からともなく…右目キタ―――(゚∀゚)―――!!!
 ってか、右目どころか893全員でのお出迎えだよ!!マジ怖ぇー!
 事務所に殴り込みとかしたらこんな感じかな、とか思ってたら小十郎サンの鋭い目と合っちまったい!
「政宗様、ご無事で何よりです。…して、その者は?」
「Ah、途中で拾った。山猿に攫われかけてたんでな」
 …何か色々ツッコみたい。でも小十郎サンが怖いからここは鮮やかにスルーだ。
「また面妖な者を拾って来られましたな…とりあえずは中へ。話はそれからです」
 額に青筋見えてるのは俺だけですか。宗様は全然気にも留めてないけどさ。



 うん、とりあえず怖い。助けておかーさーん!!!
 俺は今だだっ広い部屋(これ何畳あるんだよ)で左右後ろを893さん達に囲まれて、目の前には双竜って言う正に狼達に囲まれた子羊さん状態。
 正座してなかったら確実に足震えてるな。まぁ、今も違う意味で震えてんだけど(畜生、足痺れた!)
「政宗様、この者の素性は?」
「Ah、そう言えばまだ聞いてなかったな。What your name?」
 何で態々英語で聞くんだよー…お前それ絶対伊達軍皆解ってないって。
です」
 答えないで即「政宗様が訊いてんだ!言わなきゃ殺す!」とか言われても嫌なんで、俺は即答するけどね。
「…この者、異国語が解るのですか」
「そうらしい。それで連れて来たってのもあるがな」
「しかし、とは聞いた事のない名ですな」
 やっべ。俺やらかしたー!この時代って武士とか偉いさんとかしか苗字無いんだっけか。
「まぁ、良いだろ。俺はそんな事には興味ねェ。興味があるのはお前がどこのモンで、どっから来たのかって事と…」
 スイ、と宗様の隻眼が細められる。
「お前が何者かって事だ」
 ですよねー。でもそれは俺も知りたい事でもあるんですよー。ってその目怖いから!!!
 なんて口が裂けても言えないけど。でもどうするかな…自分でも説明出来ないんだけど、そう言っても信じてもらえないだろうし。
 ぐだぐだ悩んでいたら。

 突如目の前の空間がぐにゃりと歪んだかと思うと、そこには眼を見張る様な美女が立っていた。
 その艶やかな黒髪はどこか鈴の毛並みを思い出させる。

 …え。この人どっから現れたんだ?!
「…まだ生きていたか。良かった…
 まじまじと見ていると、張りのある綺麗な声が俺の名前を呼ぶ。
「えっと…俺、あなたとどこかで逢いました?」
「何を言っているか。私だ、鈴だ」
「…は?」
「お前に飼われてやっている猫の鈴だよ」
 …何か微妙に偉そうだな。
「鈴…?本当に鈴なのか?でもお前、何で人間に?」
「人間ではない。私は化け猫だ」



 えっと…何を言っちゃってるのかな?正直全然解んねーよ!!!