片付けをして戻って来ると、安らかな寝息が二人分。
 苦笑して旦那の布団を直してやる。ちゃんは…よく寝てる。

「ほんと、猫みたい」

 くすりと笑みを零して、さらさらの髪を梳いてやる。

「ん…」

 気持ちが良いのか擦り寄って来るちゃんが可愛くて。

 そっと布団を掛け直してやると、顔の横でピクリと指が動く。
 少し、躊躇って…その手に触れると驚く程熱い。

ちゃん…大丈夫?」

 聞こえてはいないだろうけど、声をかけると熱い指先がキュっと俺の手を握る。

「ん…きも、ちぃ…」

 あぁ、そう言えば今まで水触ってたから俺の手、冷たいんだ。

 小さな声と、弛んだ口元。
 そぅっと薄く開いた柔らかい唇に触れると、鼻にかかった吐息が零れる。

ちゃん…」

 頬にかかった髪をさらりとどける。長い睫が小さく震えた。






「ごめん、ね。俺様も酔ってるみたい」






 言い訳を小さく呟いて、唇を重ねた。

「ん…」

 寝息が少し擽ったい。でも熱い唇は柔らかくて、抑えてた理性が崩れたのは直ぐだった。

…」

 熱い額に手を乗せて。握られた指はそのままに、顎を上げる。

「ごめん、ね」

 何度も、口付ける。この想いが届く様にと願いながら。気持ちには気付かれてはいけないと思いながら。

「ふ…」

 薄く開いた口に舌を差し込めば、無意識に奥へと逃げていく。
 半ば強引に絡め取ると、苦しそうな吐息が漏れる。

「ん…どうし、たの…」

 誰か―――旦那と間違えているのだろうか。
 薄らと開かれた瞳は焦点が合わずに直ぐ閉じられる。








「好き、だよ―――…






 せめて。今だけは言葉にする事を許して欲しい。

 旦那との関係を壊す度胸も、

 ちゃんを奪う勇気も、

 心地良い三人の関係を崩しても良いと思う程の情熱も。

 何も持ち合わせて無い俺だから。







 友人の恋人として出逢わなければ、こんな想いしなくてすんだのに…。




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ヘタレ佐助が好きなんです(イキナリかよ



男前の佐助も好きなんですけどね。
連載で男前ばっかやってるとたまにヘタ助が書きたくなるんです(ヘタ助て





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