「政宗…」
「Ah?黙ってろ」
布団の上にそっと下ろされて。医者が来るまで静かにしてろと凄まれる。
「大丈夫だから」
自分で回復するし。ってか一回使ってみたかったんだよな、この能力。いきなり本番とか怖すぎる。
「何が大丈夫なんだ…」
俺を見た宗様が、言葉を失くした。
そりゃそうだよね。俺の手から怪しい光出ちゃってるし。
ってかケ●ルすげー!暖かくて、気持ち良くて、安心するー…。
「…お前、それ…」
「説明しただろ?回復の能力…って言っても初めて使うから勝手がよく解んないけど」
とか言いつつも、紫色に腫れ上がった箇所が見る見る内に綺麗になっていく。いやー、便利。
痛みを感じる所を粗方処理し終わって、宗様に向き直ると…何やらニヤニヤしてらっしゃいます。
「…何か?」
「いや…相変わらずprettyだな、それ」
それ?
指さされたあたりを撫でてみると、久方ぶりのもっさり感。って、えぇっ?!
「なっ、何で?!」
耳出ちゃってるよ!ついでに尻尾もか!!!…ちょっと回復しただけで獣人化する程MP消費率が激しいなんて聞いてないぞ…。
あ、もしかして俺まだ慣れてないからMP余計に使っちゃったとか?うんうん、それならあり得るよなーってかそうであってくれなきゃ困る。
折角便利な能力もらったのにあんまり使えないとか意味ないじゃーん。
じゃないと…じゃないとMP補充の回数が半端ない事に…それだけは勘弁してくれ!!
「冷や汗すげーぞ?」
「いやいやいや、何でも無い。ちょっと考えすぎただけであって」
とりあえず、ちょこちょこケ●ルの訓練もしとかないとな…鈴の説明はちょーアバウトだったし。でも訓練してたらいつかは補充しなきゃならなくなるし…考えれば考える程憂鬱だ。
「…何やってんすか」
「あ?俺の知的好奇心を満たしてンだよ」
とかそれらしい理屈捏ねた所で、ただ触りたかっただけでしょーが!目輝かせて尻尾触っちゃって…子供かあんたは。
「あんま強く握んなよ、力抜けるから」
「OK、OK、任せとけ」って、軽いなー。ってか非常に距離が近いんですけど。
よくよく見なくても思ってたけど、宗様って本当に整った顔してるよなー…睫毛長っ。鼻筋だってスっと通ってるし。
なんて見惚れてたら不意にバチっと視線が合ってしまった。
「っ…!」
慌てて目を逸らしたけど、時既に遅しって奴。チラリと見えた宗様の唇がニヤリと弧を描いてた。
「見惚れちまう位格好良かったか?」
するりと尻尾から手が離れ、そのまま耳を触られる。ピクっと耳が震える。
「ちょ、耳はあんま…触るな…ッ」
元から耳弱いんだよっ!それが猫耳になって、更に弱くなっちまったみたい。
政宗の骨張った長い指がソっと縁をなぞるだけでゾクリと背が戦慄く。薄い先端を抓まれると、耳がへたったのが解った。
「随分とsensitiveじゃねェか」
くつくつ笑う政宗を睨んだが、全然気にしちゃぁいないみたいだ。それどころか、政宗の何かのスイッチを入れてしまったらしく、嗜虐的な笑みを返された。
「イイ顔だ…」
耳元で低く囁かれたかと思うと、ざらりと生暖かい物(何かは解ってんだけど言いたくないんだよ!)が耳の中に侵入してくる。
「ッ、あ…っ」
ぎゃー!!!なんつー声出してんだよ俺!!!
ってか何この空気?!俺、男だから!ってか男として失っちゃいけないモノがちょー危険な気がする…!!!