二人で話したあの日から、何かと三人で遊ぶ事が増えていった。

 今まで旦那と食べていた昼食にちゃんが混ざったり、とか。
 旦那と同居してる家に帰ったら、ちゃんが居たり、とか。
 旦那の部活終わりをいつしか二人で待つようになったり、とか。

 ちゃんが泊まりに来た事もあったっけ。
 そんで夜を明かして三人でゲームしたり、遊んだり。



 いつの間にか三人で居る事が普通になっていた。



「ただいまー」

「佐助君、お帰りー!お邪魔してますー」

「あれ、ちゃん来てたんだー。丁度良かった、今日鍋だから一緒に食べていきなよ」

「やたー!佐助君のご飯おいしいから大好きっ」

 こうやって夕飯を三人で食べるのも、もう慣れたもんで。
 最初の方は凄く緊張していたちゃんも今では当たり前の様に手伝ってくれるし、遠慮も大分減った。

「つみれとかも自分で作るの?」

「うん。買った方が安い時は買うけどねー」

「佐助ー、ー、腹が減ったで御座るー」

「もぉ、幸は食べる専門なんだから黙って待ってなさい」

「うぅ、まるで佐助の様だ…」

 キッチンからすごすごと去って行く旦那に二人で笑う。
 自分の肩の位置で揺れる小さく形の良い頭。ふとした瞬間に香る良い匂い。





 全てが自分の物なら良かったのに―――…。





「あ、そだ!今日ね幸が珍しく全教科赤点無かったの!」

「嘘、マジ?旦那どしたの?!」

「失礼だぞ、佐助!」

 真っ赤になって怒る旦那を尻目にちゃんはごそごそとスーパーの袋を漁る。

「それでね…じゃん!お祝しよっ!!…未成年だけど、ちょっとだけ、ね?」

 悪戯っ子の様に笑って取り出したのは、お酒の缶。

「悪い子だねー」

「悪い子で御座る!」

「いらないのー?」

「「いります!!」」

 笑い合って、鍋をつつきながら酒を呑む。ちゃんはお酒が弱いのか、もう既に真っ赤になってる。

「明日休みで良かったね。ちゃん酔っ払っちゃってるし」

 コソっと旦那に耳打ちをすると「擽ったい!」と笑い転げる。
 ―――…駄目だ、こっちもイっちゃってる。





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