きゅっと絡ませた手が先程よりも熱を帯びていて、それが何故か自分の体温をも上げてしまう。
「旦那の躯、熱い…」
耳元で囁かれ、ふっと笑ったのか掛かる息が擽ったい。
「旦那って耳、弱いでしょ?」
「っ…」
擽ったい筈なのに。それだけじゃない何かが自分の躯を通り抜ける。
ひた、と露わになった胸元を心地良い温度の手が撫で上げ、只それだけの事なのに自分でも解る位躯が跳ねた。
「…凄い敏感だねぇ」
揶揄う様な声でくすりと笑うと、性悪な忍の手はゆっくりと胸の上を這い回る。
「っぅ…佐助…」
何が切欠か解らないけれど、いつもと違うどこか婀娜めいた表情の佐助に躯がどんどん熱くなる。
「ねぇ旦那…」
不意に名を呼ばれ、伏せた目線を上げると真剣な眼差しに絡め取られる。
「さ…す、け?」
「…抱いて良い?」
あまりに率直な質問にくら、と眩暈がした。ここで断っても素直に引き下がるつもり等毛頭無い癖に。
「お主は狡い」
ぽつりと言葉を零せば、困った様な笑みを浮かべて佐助は頷いた。
どうせ断る事等出来ぬのだ。自覚している位その顔に弱い自分が居るのだから。
「旦那…好き」
お互いの唇が触れるか触れないかの所で囁くと、そのままそれを重ねた。
本当に佐助は狡い。いつだって想いを告げるまで待ってはくれぬのだから。
「っ…や、あッ…」
生暖かくぬるりとした感触が首筋を這い回る。
四つん這いにさせられ、後ろから激しく突き上げられて。
ひっきりなしに上がる嬌声は自分のものとは思えない程甲高くて、耳を塞いでしまいたい。
そんな微かな願いも、後ろ手に一纏めにされたこの腕では叶う筈も無いのだけれど。
「はっ…さ、すけッ…激し…あぁッ、んぅっ」
ぐちぐちと厭らしい水音が鼓膜を犯し、突き上げられる度に躯の温度が上がる様な気さえする。
「ひッ、あぁ、やぁッ…!」
いつの間にか佐助の手がいきり立った自身に添えられて、動く度に擦れる。
後ろと前と、その両方からの刺激に自身からは絶えずねっとりとした汁が溢れ出して止まらない。
「は…旦那、前触られるの好き?凄い締まってるよ」
「やぁっ…そんなこ…と言わ、な…でっ」
自らの意志とは無関係に、きゅうきゅうと締まるせいで、よりはっきりした 佐助自身の存在にまたコプリと汁が溢れた。
「も、辛い?」
ぱんぱんに硬くなった肉棒を扱く佐助の問に、こくこくと頷くと律動がぴたりと止まる。
「佐助…?ひっ…あぁぁぁァッ…!」
足を掴まれたと思った瞬間、繋がったままで躯を引っ繰り返されて。
ぐりゅっと音がしそうな位肉壁を抉られ、甲高い声を上げて達してしまった。
「ぅ…っ、旦那?」
向い合う形になり、びゅくびゅくと己の白濁を腹に受けた佐助の姿に羞恥が込み上げる。
「す…すまぬ…!」
あまりの恥ずかしさに目を瞑ると、ころりと涙が零れた。
「んーん。旦那、目開けて?」
言われた通りに目を薄ら開けると、佐助の舌が涙を舐め取る。
「達したのは気持ち良いって事だし、俺は嬉しいよ」
にこりと微笑むと佐助はちゅ、と啄む様な口付けをして、精を放っても未だ硬度を保ったままの自身に触れた。
「旦那もまだ元気だし、もうちょっと付き合ってね」
え、と制止する間もなく。言うが早い、足を持ち上げられたかと思うと佐助はそれを肩に乗せ律動を再開させる。
「まっ、あぁッ…」
ズンズンと肉壁を擦り上げて熱い楔が打ち込まれると、もう自分でも訳が解らない程の快感が襲ってくる。
「ふぅ…っン…佐助っ…も、駄目ぇっ…」
一度達した直後だからか、先程よりも敏感になった躯が熱を持て余して捌け口を求めていた。
「ンっ、旦那最高に可愛い…一緒にイこっか」
熱で潤んだ目で佐助を見上げると、額に汗を浮かべていて。
切なげに寄せられた眉根や、少し切羽詰ったような表情に胸が締め付けられた。
「さす、け…っ」
名を呼ぶと両手を顔の横で縫い止められ、そのままお互いの指を絡ませた。
そのまま激しく楔を打ちつけられ、腰を揺すぶられて…。
「あッ、もっ…ぅあ、やぁぁぁァァっ…!」
「く、ぅっ…」
びゅる、と白濁を放つと同時に最奥に佐助の熱が注ぎ込まれるのを感じた。
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